実は20年以上前からの課題です。
この間のテレビでこんなことがあったようで。
ベテラン声優陣の意見に対しては賛否両論あるみたいです。でもこれ、実は20年以上前から業界では言われていた点で何も最近出た問題ではないんです。
20年以上前のテレビで、故内海賢二さんが養成所を出たばかりの声優に対し、「そんな演技じゃこの業界で生き残れない!」とマジ説教して泣かせるということもあったくらい。
養成所は確かにいろいろスキルを教えてくれますが、同じ授業を受けるとどうしても同じような演技になってしまうのではないでしょうか?
スキルを身に着けるという点では非常に効率がいいですが、それに個性をつけていかないと業界では生き残れないというのは、ベテランと呼ばれる声優陣の総意だと思います。
大塚明夫さんなんて著書で「声優になるのはやめなさい」と言ってるくらいだし…(この辺はぜひ本を読んでほしいです)。
故残のアニメファンとして、今の声優ブームは非常にうれしいです。ただ、確かに若手の声優について、声だけ聴いてもよくわからないというのも事実。
沢城みゆきさんは数年前からいろいろとされているそうで、個人的にはかなりすごいなあと思っている方ですからこういう若手も増えていけばいいなあと思います。
林原めぐみさんが言うように「若くて安いから(声優はランク制なので)」だけで使われることの無いようにしないと。これはどんな仕事でもおなじだと思います。
LOGAN感想〜1人の男の戦いについて
ようやく見てこれました。もう文句無し、最高の映画だということはおそらく多くの人が同意してくれるでしょう。
間違いなくキャスティングの時点で勝ち、と言える映画です。17年もの長い間ウルヴァリンを見事に演じてくれたヒュー・ジャックマンには感謝の言葉しかありません。そしてパトリック・スチュワート、ダフネ・キーンにも。この三人だからこそ名作になり得たんだと思います。
ヒーロー物と言う枠を超えた映画で、ラストは自然に泣いていた、この映画に出会えたことを感謝します。本当にありがとう!
それにしても、ここまでヒーローが老いた映画は今後も含めて作れないでしょう。ヒーローだった男の内面が余りにも切なく、信じて来たものの為に戦って来た事全てを否定せざるを得ない状況になり、それでも最後の最後にローラという希望を手にした。
文字通り命をかけたラストバトルの後の2人の別れ。今まで過酷すぎる人生を歩んで来たウルヴァリンはローガンとして初めて安らぎを得たのだと思います。
アメコミの世界は死んでも生き返るのが当たり前だけど、この映画でヒュー・ジャックマンとパトリック・スチュワートは卒業を明言しているのでもうちょっと復活はないでしょう。
アメコミの方でもウルヴァリンとプロフェッサーXは今ちょうど死んでいるままなので(変な表現だけど)、代替わりするのか原作どおりになるのか分かりません。でもXーMENシリーズはまだまだ続けて欲しい。魅力的なキャラクターが沢山いるので当然可能だと思います。
それにしてもダフネ・キーンが素晴らしかった。彼女のような新人をキャスティングできる所がハリウッドの強みだと思います。完璧なローラを演じてくれてありがとう!
大人になってから見方が変わったキャラクターについて(若干マニアックです)
人は必ず歳をとりますし、いろいろ経験して大人になります。当然子供時代に比べてたくさん経験し、物の見方も変わります。子供のころは嫌いだったのに、大人になると共感することもたくさんあるわけです。特に働き出し、組織の中で生きていくとね。
という事で大人になって見方が変わったキャラクターをちょっと紹介していきます。
ガンダムファン中ではその行動に問題があったとして、かなり有名なヒロインです。当時は本当に悪女やら頭がパープルトンなど兎に角批判が多かったのを覚えています。
地球連邦政府がアナハイム社に極秘発注したガンダム計画の責任者でした。
初登場時コウ・ウラキに対して冷たく、ガンダムが強奪されたときに「私のガンダムが!」発言。その後ウラキとは恋仲になりますが、昔ガトーと付き合っていたことが発覚。そして最終決戦の時に傷ついたガトーを支えながらコウの前から去る…1年後に釈放されたコウの前に登場します。
「私のガンダム」発言から二人の男の間をふらふらする悪女として、ガンダムヒロインとは思えないほど嫌われていました。
でも、大人になるとわかるんです。最初にコウと会った時、彼はメカマニアの新人テストパイロット。伝説の名機ガンダムを任せられるくらい優秀であれば、それは当然仕事に相当入れ込んでいるんでしょう。目の前でガンダムをいただくって言われたら「私のガンダム」くらい言います(これは監督もそういっています)。それだけ真面目に仕事している証拠なんです。
そしてガトーと付き合っていたことが発覚した後について。昔の恋人が目の前に現れて、しかもテロリスト(軍隊と認定されていないため)。動揺しないほうが不思議です。
最後の決戦時に生身で向かい合った時、怪我をして動けなかったガトーを支えながらコウの元を去るのですが、恋人が目の前で人を撃とうとしているのに耐えられるはずがありません。そもそも彼女は軍人ではないため目の前で殺人が行われるのに平然とできるはずないんです。
そう考えると、彼女のとった行動ってすべて「普通の女性」としての行動なのです。急に紛争に巻き込まれ、その後の人生まで影響を及ぼされた悲劇の女性でもあるのです(ちなみに小説版ではキャラクターの心情がきちんと書かれているため、より理解しやすいと思います)。
登場当時は「写輪眼のカカシ」として忍世界では知らぬものがいないくらいの有名人で、その通り名に恥じない実力の持ち主でした。ナルト達含め里の者からも信頼が厚く、頼られる人物。
物語が進み、ナルトやサスケの実力が上がってきてからは不甲斐ない面が目立つようになり、ネット上ではネタになることも多くなってきてすっかり威厳を失ってしまった感じが。
NARUTOはもともと少年漫画なので主人公が注目され、大人が若干割を食うのはわかります。でもちゃんと見るとナルト、サスケ、サクラの三人の成長がすごいですがちゃんと最終決戦でも指揮を執り、最後までナルト達を導く大人としての役割を果たしています。
それに、大人は迷うし悩むものです。カカシも自身の父が自殺したという事と子供のころに目の前で死んでいった(と思っていた)オビトの件で悩み、葛藤の中で生きてきました。オビトと再会した時はかなり動揺しています(子供のころ死んだと思っていた友人が敵として生きていたんだからそれは当たり前)。
それでもわずかな時間で立ち直り、みんなをまとめて世界を救った点から作中屈指の有能なキャラクターであるといえます。
第四次忍界大戦後に火影に選ばれたのは当然で、大きな戦いが終わった後に必要なのは武力ではなくカカシの知名度とあらゆる問題に対応できる頭脳なのです。
実際に疲弊した里を回復させ、無事に火影の座をナルトに渡したことからも指導者として非常に優秀なことがうかがえます。
3、野原しんのすけ
おそらく日本一有名な5歳児。その年齢からは想像もつかない運動神経の持ち主で、数々のスポーツを華麗にこなすし、恋愛に関しても「子供は趣味じゃない」となな子お姉さんに一途?妹のヒマワリが生まれたときは、みんなの関心が自分からひまわりに行く為、嫉妬心をあらわにしていました。特にアニメ放送序盤には下ネタも多かったため、かつて行われていた「子供に見せたくない番組」アンケートではアニメとして珍しく上位の常連でした。
しかし毎年公開される劇場版は、とても名作が多いことはご存知でしょうか?子供ばかりか大人の鑑賞にもしっかり耐えられる(というか夢中で見る)作品ばかり。毎年楽しみにしているという方も多いのではないでしょうか。
あまり知られていませんが、連載はもともと大人向けの雑誌で行われていたため必然的にネタも大人向けが多かったのです。アニメ開始でその認知度が一般に広がっていったため次第に減っていきました(かといって作品の面白さがまったく損なわれず、むしろ向上したのは素晴らしいです)。
そしてしんのすけの行動って実はかなり子供の行動を忠実に再現しているんです。おそらく子供がいる方はわかるのではないでしょうか?
大人が持っている余計なフィルターがないため、誰にでも平等に接するし、劇場版ではひまわりを文字通り命がけで助けることもしばしば。かなり家族思いのお兄ちゃんです。
いかがでしょうか?まだ多くのキャラクターがいます。一つ言えるのは、キャラクターがきちんと確立しており、その行動や言動に意味があるという事。
現実と同じようにそれぞれの立場を理解しなければ、その行動も理解できないのです。
大人になってから、子供のころに好きだったアニメや漫画を見直してみると当時とは印象が違うキャラクターがいるかもしれませんよ。
「LOGAN/ローガン」を見る前に(後でも)ぜひ読んでほしいアメコミの紹介
遂に6月1日に「LOGAN/ローガン」が公開されます。ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリン最後の戦いを見る前に読むと更に楽しめるアメコミを紹介しましょう!
その前に少しウルヴァリンの紹介を…
本名:ジェームス・ハウレット、通り名をローガンといい、本人が長い間記憶を失っていた為ローガンと呼ばれる方がはるかに多いです。
ミュータントであり、その能力は怪我はもちろん、骨になっても再生できる(それ以上かも)ヒーリング・ファクターと両手の甲から出るクロー、加えて犬並みの嗅覚も持っています。ヒーリング・ファクターは怪我の再生だけでなくトラウマとなるような記憶も消してしまう為、その後の記憶改変も重なり、ウルヴァリンは長い間過去の記憶を失っていました。
そしてある組織に人間兵器として改造され、その際に全身の骨格が地上最強の金属アダマンチウムで覆われています。その重量40Kgとも。
身長160㎝、体重が100~120Kg(アダマンチウム含む)、筋肉で固められたその肉体はとても優秀な戦士であり、多くの戦いに参加しています。
ヒーリング・ファクターにより老化が遅い為非常に長生きしており、150歳以上とも。
その長い人生の中で世界中を旅行しており、様々な語学に通じています。実は特に日本と縁が深く、何度も来ており特にヤシダ家のマリコと婚約、結婚寸前まで行きました。
実はかなりモテます。数多くの女性とロマンスを経験していますが、本命の女性とはほぼ悲しい別れを経験しています(マリコやジーンは死亡など)。
マーベルだけでなくアメコミの中でもトップクラスの人気キャラクターで、個人誌のほかにも多くのチームに参加しています。そのため真面目に考えると休みないですよね…?
ちょっと長くなりましたが、日本でも手に入るシリーズを3本紹介します。映画にすべてが投影されているわけではないのですが、アメコミの奥深さを確認することもできるし、何よりすべて名作ぞろい!読んで損はしませんよ!!
1、「ウルヴァリン・オリジン」
まずはこれ。オリジンの通り、ジェームス・ハウレットがどうやってローガンになったのか?が描かれます。当時裕福なハウレット家に生まれたジェームスは病弱な少年でした。そんな彼ですがある日ミュータント能力が発動します。しかし、それは普通の人なら発狂死するであろう過酷すぎる人生の始まりでした…
実はウルヴァリンがアメコミに登場したのが1974年。そしてこのシリーズの連載は2001年。つまり四半世紀後にウルヴァリンの歴史が初めて語られたのです。
大人気キャラクターであるウルヴァリンのオリジンを、今更語るという事に色々な意見があり、実際ライターもかなりのプレッシャーがあったと思いますが、これが大ヒット!一人の少年がローガンとして生きていくまでを描いています。本作のヒロイン、ローズとは非常に悲しい別れを経験するのですが、彼女は赤い髪。ジーン・グレイにあそこまで入れ込んだのはローズの思い出が残っていたのかもしれません。
X-MEN ウルヴァリン:オリジン (SHO-PRO BOOKS)
- 作者: ポール・ジェンキンス,光岡三ツ子
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: 大型本
- 購入: 1人 クリック: 28回
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2、「ウェポンX」
こちらは既に壮年のローガンがある組織に拉致され、人間兵器「ウェポンX」に改造される物語です。アメコミ界の巨匠バリー・スミスが描く圧巻のアートと共に繰り広げられる骨太すぎるストーリーは正に圧巻!おそらく多くの人が持っているアメコミの印象が変わるのではないでしょうか?
ローガンとして登場するのは最初だけで、その後は改造され過酷なテストを兵器としてこなしていく姿が掛かれています。全身にアダマンチウムが仕込まれるのもこの時。ウルヴァリンを象徴するあの爪は、当時は骨ではなくこの時改造された際に予測せず作られたものという設定ですが、台詞に矛盾がないのが何気にすごい!この時にも記憶を改ざんされた為、ウルヴァリンの過去については本当に不明のままでした。
途中でウルヴァリンの意識が戻ったのか?と思える描写があるのですが、現実と幻想の堺がわからない表現となっており、読者も改ざんされた記憶を体験することができます。
実は日本語版はかなり前に発売された為、既に絶版ですが古本が流通していますので入手は容易だと思います。
3、「オールドマン・ローガン」
最後に2017年5月発売の最新作です。ヴィランたちがヒーローほぼ抹殺し、アメリカ(もしかして世界中?)を支配しているという衝撃の世界となっています。
ヴィランとヒーローの最終決戦に起こった”ある事件“で、ウルヴァリンの名を捨て妻と子供と共にひっそりと生活しているローガン。その地を支配しているハルク一族に家賃を払いながら細々と生きています。ヴィランが支配している為当然圧政。貧乏な為家賃を滞納し、ハルクの子供に痛めつけられるという、闘争本能も失ってしまいました。
そんな中生き延びていたホークアイに運搬の仕事を持ち掛けられ、アメリカを横断することになります。
驚くべきはその世界観。今までにもヴィランが勝っているシリーズはありましたが、生き延びたヒーローたちがレジスタンスを続けている等、希望がありました。しかし今回はヒーローがほぼ殺されている為そんな希望すらありません。そして生き延びたウルヴァリンは名前も捨て、爪も封印しもう戦わないと言ってはばかりません。なぜそうなったのか?そしてこの世界で希望はあるのか?マーク・ミラーがライターで、こちらも非常に評価が高い作品です。
実はこれ、マーベル基本世界ではなくアース616ではなくアース90210なのです。だからここまで過激な世界設定をできるというわけ。この辺がアメコミの面白いところでもありますよね。そしてこの作品は今回の映画の原案でもあります。と言っても「歳を取り、ローガンとして生きている」「ヒーロー(ミュータント)が殆どいない」などしか共通点はありませんが、逆に違いを見るのも面白いと思います(私は凄く楽しみ!)
- 作者: マーク・ミラー,スティーブ・マクニーブン,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2017/05/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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さて、どうでしょうか?人気キャラクターだけあってウルヴァリンが主人公のシリーズはすべて大御所は実力者が作成していますので、すべて名作と言って間違いありません。
上記3作はウルヴァリンの人生の転機でもあるし、翻訳されていますのでこの機会に読んでみてほしい作品です。
日本の会社について思う事(自分の会社も含む)
ここ数年、日本のモノづくり企業が大苦戦しています。シャープは鴻海の子会社化したし三菱自動車も不正発覚後に日産の子会社化、東芝はつぶれないのが不思議なくらいがたがたに。
この辺は大企業なのでよく報道もされますが、中小企業も同じような状況かと。
かつては「メイド・イン・ジャパン」と言えば品質と性能がとてもよく、びっくりするくらい世界中が欲しがりました。本当バブル期なんて面白いくらい売れて、バカみたいな買い物をする企業や人が出てきました。
でも、バブルがはじけて経済が大きく傾き、会社ではリストラや生産業雇用の非正規雇用が進んだ。
非正規雇用が進めて会社は雇用費用が抑えられたからよかったんだけど、生産にあたり一番大切な「技術の継承」が無くなってしまったんです。
なんだかんだでベテランの方々の技術は凄かったんですよ。はんだ付けや組み立ての注意深さなど、安心して生産を任せられてました。「これを生産」と言えばもう勝手に作ってくれるんだもん。
これが非正規雇用だとどうなるか?
彼らもいい条件の職場があれば当然そちらに行きます。そりゃ給料が高い方がいいもんね。なので突然辞める事も多々あり。特に工場で一番非正規雇用が多い場所は現場なんです。色々と技術を教えても、突然辞められるんです。
いや、それを責めるわけじゃなりません。非正規雇用はとても不安定。本当に急に「明日から来なくていい」と言われる。そんなことになるんなら少しでも条件がいい方に行く。当たり前のことです。
そもそも大部分の日本企業って、終身雇用ときちんと給料が上がる事を前提として仕組みが作られたもの。基本的に退職って考えてないんです。
つまり。「作業者が辞める状況」はもう既に「現状の働き方とは合わない」という事なんです。で、今現実に起こっている問題は「技術の継承が全く行われていない」という事。
それも数年単位じゃなくて、もう2~30年も。
そして正社員も減っているので、当然こちらもどんどん継承をしていないんです。直接作業員もそうですが、間接作業も技術というかノウハウの引継ぎがあるんです。
それがないのでもうガタガタになるのは当たり前。
でも上層部は「バブルのいい時代」を知っているからその時の考え方から抜け出せない。なのでいくら要望を言っても「今までこうだった」で、対応してもらえない…という悪循環。
その結果生まれるのが「技術の喪失」。そうして品質も納期も全然守れなくなってくる。もう「メイド・イン・ジャパン」は存在しないんです。品質も何も、海外のメーカーに負けている。
そして昔の頭しかない上層部にありがちなのが「メイド・イン・チャイナの軽視」。
確かに品質が良くないものは多いです。でもそれはとにかく安い所を使っているから。中国製と言ってもちゃんとした所の製品なら、最早日本製と同等です。
彼らは中国の貪欲さを見くびっています。大量に色々な製品をコピーして、そこから技術を吸収し、新たな製品を作って世界に売り込んでいく。これって昔の日本と同じです。
怖いのは、今や質のいい製品をコピーする技術がたくさんあるという事。それらを使用すれば本当に安易に技術の吸収ができる為、日本が誇れる技術っていうのは本当に一握りになっています。
もう既に日本は特別な国ではありません。それを自覚していかないと、どんどん世界の中で存在感がない国になってしまいます。
と、いくら訴えても本当に分かってくれないんだよなあ…上層部って。
勉強している経営者か、若いベンチャーの方が大企業より未来があると思うのは私だけなんだろうか?
豆腐プロレスが面白すぎてたまらない!
いや本当。もう毎週楽しみで。
知っての通りAKBグループのメンバーが出演しているプロレスが舞台のドラマ。始まる前はかなりの賛否両論があって、「アイドルがプロレス?」「誰でもできると思われる」など、特にプロレスファンからこんな声が。
実際私も最初はそういう考えもあったんだけど、知名度の高いAKBグループがプロレスを題材にしてくれるという事が嬉しかったりもした。
だってプロレス人気が高まっているからわざわざAKBが題材に選んだわけだし、むしろここをチャンスとしてもっとプロレスがメジャーになればいいじゃないかと。
ぶっちゃけプロレスシーンはそれなりであればいいかな…?などと思ったんだけど、そこはコーチがあのミラノコレクションA・Tさんと下田美馬さん。プロレスを知らないメンバーの特性を見極め、きちんと仕上げてきてた。
メインはもちろん、脇を固めるメンバーもちゃんとプロレスになっているのが本当にすごい。ここまでプロレスを真正面からとらえ、答えたドラマは初めてじゃないの?と思った(アステカイザーは別だなあ)。
ストーリー展開や、各人のキャラクターに今まで日本が積み上げてきたプロレスの歴史が透けて見えるのも素晴らしいよ。プロレスファンなら例えば主人公のチェリー宮脇のファイトスタイルが三沢光春さんだという事もわかるし、ハリウッドJURINAはオカダ・カズチカの雰囲気ととケニー・オメガの闘魂、そして棚橋弘至のファイトスタイルを融合させた感じ。この二人が全日本系譜と今の新日本の対比となっているのがまた面白いなあ。
現在空位となった王座決定戦トーナメント「OVER THE TOP」の一回戦が終わり二回線が始まったのですが、ハリウッドJURINAが破れ歯医者復活に回るとか波乱の展開がまたいい。
でも個人的に1回戦でのNo1は、ユンボ島田とクイウチ松村の工事現場同盟同士の戦い。
ヒールであるがゆえにファンから嫌われるのは極悪同盟からだろうし。記者会見の時に乱入してくる下りは伝説の「コラコラ問答」だし、ヒールのクリーンファイトで声援が送られるのは、ブル中野とアジャコングの対戦へのオマージュ!もう盛りだくさん。
しかもフィニッシュホールドがジャパニーズオーシャンスープレックスホールドというまさかの超大技!先日引退を表明した飛翔天女、豊田真奈美さんへのエールのようで、本当に良かった。
残念なのはユンボ島田こと島田晴香が、7月にAKB卒業と同時に芸能界引退を表明している事。こりゃ続編はどうするんだ⁉と、完結する前に心配してしまうほど入れ込んでおります。
今後の展開もすごく楽しみだ。プロレスを盛り上げてくれてありがとうと素直に言いたいです。
人の皮を被った感情の化け物~大家健の咆哮
大家健と言うプロレスラーがいる。彼はDDT系列のガンバレ☆プロレスの代表者兼エースだ。
何度も失踪し、本当に期間工や自殺未遂(まあ大事に至らなかったみたい)を行って、彼は結局プロレスに戻ってきた。骨の髄までプロレスラーだったのだ。
戻ってきたはいいけどDDTをクビになり、復帰も拒否されて団体を作ることを提案された。そうしてわずか1万5千円で立ち上げのがガンバレ☆プロレスだ。
それまでパッとしないレスラーだった大家健は、ガンプロを立ち上げてから変わった。ごまかしたり逃げたりすることをやめて、「プロレスをもう一度メジャーにする」と宣言した。そうはいっても有名レスラーも資本力もないガンプロは地道にやっていくしかなかった。
がむしゃらにまっすぐに大家は戦った。ガンプロの試合は月一、100人程度の会場で行う。そのたびに大家は自分の胸の内を叫んだ。ごまかしが一切ないその言葉は、まるで呪文のように人の心に響いた。
考えてみればこんなに感情をあらわにして叫ぶ選手は今やなかなかいない。マイクアピールが常識ではあるが、プロレスラーである以上ある程度は感情を抑えて自分のスタイルを通す。
しかし、大家のスタイルは感情むき出しなのだから、マイクアピールは感情をそのまま叫ぶ。感情をそのままぶつけられると、受ける人もごまかさずにまっすぐになる。
そして2016年に後楽園で大会を開催することにした。今まで100人規模だったのが生きなら1000人単位だ。そりゃ大変な賭けであったのは間違いない。
後楽園の前に、こんなことがあった。
この動画後半の大家健の叫びは、今やこんなことを言う大人はいないんじゃないのかと思う。人に馬鹿にされても、夢を語り続けろ。そうすれば応援してくれる人は必ずいると。
今の大人はその逆のことを子供に教えているだろう。夢なんか見てないで、早く現実を見ろと。
大家健は自分で言っている「プロレスをもう一度メジャーにする」事はとてつもなく高い山だ。今新日本プロレスやDDT、大日本プロレスなどが盛り上がってきてはいるけど、かつてのゴールデンタイムで放送があった頃に比べるとまだまだ。
しかもガンプロは(本人も言ってるけど)弱小インディー団体だ。全体で見ればどれだけ影響があるかわからない。
それでも大家健は叫ぶ。今でも叫び続けている。プロレスをもう一度メジャーにすると。夢を叫び続けろと。魂の言葉は人の心に響き、そして届く。確かに会場は小さいかもしれないけどちょっとずつ進んでいる。
大家健は自分で言ったことを実践しているのだ。だからファンの心に響くし残る。
彼の生き方は泥臭いしかっこ悪い。かっこ悪すぎて格好いい。たまらなく格好いいのだ。やろうと思ってなかなかできない。
だから彼を応援したくなるのだ。感情の塊である彼は、どうかそのまま突き進んでほしい。そしてプロレスをもう一度メジャーにする為に。