バッタを倒しにアフリカへ行った博士の本を読みました。

 いや~面白かった。今更ながらこんな面白い本をスルーしていた自分に腹が立つくらい。一気に読んでしまった。

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

 

 そもそもこの本の存在は知っていたし、話題になっていることも知っていた。

それなのにスルーしていた。

 

だって、表紙が「バッタのコスプレをしたおじさん」だよ?

著者も「前野ウルド浩太郎」だよ?

なんだよウルドって。ベルダンディースクルドはどこ行ったんだよ?てな感じで訳が分からんって思ってた(かなり失礼。ウルドの由来も書いてあるが、非常に名誉ある名前でした・・・)。

 

先週の出張中に時間が空いたので、いつものように本屋を探して入店。本屋であれば、数時間くらいはあっという間に立ってしまうのだが、田舎の本屋だったのでそんなに品ぞろえがない。

そんな中、この表紙が私を誘っていた。表紙の通り網で捕獲されたようだ・・・

パラパラと前書きを読んでみると

 

「子供の頃からの夢「バッタに食べられたい」をかなえるためなのだ」

 

この一文で購入を決めた。こんな変人が書いた本、面白いに決まっている。

 

著者の前野さん、ものすごくきちんとした研究者で小さなころから昆虫、特にバッタが大好き。好きすぎて世にも珍しい「バッタアレルギー」になるくらい(つまり、触りすぎなのだ)。

 

そんな前野さんがバッタの研究をするため、アフリカのモーリタニア国に行く。正直モーリタニアなんて国は初めて知ったのだが、バッタによる被害がとんでもないようだ。もともと裕福ではない国らしいが、バッタの被害が起きるともう目も当てられなくなるらしい。

そもそもバッタの被害は「蝗害(こうがい)」と呼ばれ、世界中で起きている。

もし防ぐことが出来たら、それこそノーベル賞並みの偉業なのだ。

そんな壮大な野望を胸に秘めつつ、モーリタニアで経験した様々な出来事を軽快に記している。

当然お金や将来の心配もあるのだけど、それよりもバッタ研究に熱い情熱を注ぎ、次第に多くの人の協力を得ていく姿に、読んでいるこちらも次第に巻き込まれていく。

そして前野さんの協力者も非常に魅力的だ。あったこともないのにもう顔見知りだと思える位に生き生きと描かれている。

調子がいいが、確かな腕とノリで支えてくれる専属ドライバーのティジャニ。

しっかりとした決断と大きな愛情で支えてくれる、研究所のババ所長。

もちろん研究者としての苦労や悩みも書かれているが、常に前向きに行動する前野さんの姿に勇気づけられるし、昆虫にも興味を持ってくる。

本当に面白い。こんな本を避けていたなんて、人生の不覚だ。

拍子で迷っている人がいるのなら、その迷いはすぐに捨てて手に取ってほしい。

虫嫌いなあなたでも、面白くてたまらなくなるはずだから。